ノウハウ

保険業界におけるテレワーク。コロナ前コロナ後

生命保険というと、昭和生まれの人間は、どうしても「保険のおばちゃん」を連想する。おばちゃんは、自社の製品を完璧なまでに褒めまくって、契約を取る。

その次のおばちゃんに代わると、実は前に入っていた保険の不備を聞かせられていなかったことが往々にして判明する。また次の代のおばちゃんになれば、同じことの繰り返し。どうして教えてくれなかったのですかと攻めようものなら、渡していた規約をよく読んでくださいとキレられる。

そこで、一度入院中でなにもすることがなかったので、読んでみたことがある。なかなか分厚い小冊子だった。結論からいえば、おばちゃんも読んだことのないだろうその規約とやらは、いかに保険会社がお金を出さないでいいような規約でしめられている。次回おばちゃんが代わる時は、全文が頭に入っている人を指名しようと心に決めた。

20歳から自分でかけていたとは言え、証書は親が持っていて、入院時一日いくら支払われるかすら、教えてはくれず、親に通報が行って、そんなお金にさもしい人間に育てたつもりはないと、親が払ってくれたり。その保険商品は20年満期のはずだから、その後の5年くらいは親が払ったようだ。入院時の給付金を全額前倒しにして入金すれば、親は1円も出していない計算になる。

通販生命保険の明確さ

そして、おばちゃんの商品に入ることはやめた。先に渡してくれる通販の保険に入った。そこには、保険と言う商品を買った、その保証はなにかという単純明快な論理だけがある。それでも、その保険に入った時期と、似たような名前の次の商品発売の時期が重なっていたために、通院保証金を得ることはできなかった。

明治安田生命が、テレワークの先陣を切りました。その後、親の保険が満期になってもう更新できない時期に、出会った保険のおねえさんは、今考えるとテレワークの人だった。

自分たちのいい時間に突然現れたおばちゃんたちのようではなく、きちんと訪問日と訪問時間のアポイントを入れてくれる。きちんとしたスーツ姿で、バックからタブレットを出して、私にも親にも見られるようにして、事務的に今後の展開を説明していく。

人情に訴えたりしない。保険商品はちゃんとしたビジネス商品であるという姿勢で接してくれた。ただ、その日のその時間は、子供を保育園に送っていって、直接向かってきたということだった。

タブレットは、私用で使うことはできないように、保険会社でセキュリティがかけられており、そこには、たくさんの顧客の個人情報が入っていると思われた。「会社にいることが少ないもの。直行直帰もありますから」と直通の携帯電話の番号も教えてくれた。

ただ、彼女もビジネスの一つと考えているので、もう更新できないということだけど、どこかに入れる商品はないか。がんを3回した私でも入れる商品はないか(これは親との契約ではない)、調べてくれていたので、何度かお会いした。

こちらが出せる毎月の金額と、商品の年齢的金額のすり合わせは、タブレットの中でサクサク計算が出来た。保険会社も変わっていくのだなと思った次第だ。結局親子して入れる商品はなかったが。

時期はその頃と同じくらいだと考えられる。「保険の窓口」など、各社の保険商品を一堂に集めて、予算やライフスタイル、補償内容などを精査し、契約まで持ち込めるお店ができた。

新型ウィルスが、保険の前に立ちはだかる

新型コロナになって、対面訪問による保険業務は、テレワークであっても、厳しくなった。

新規の獲得はやはり対面でなければ、信用を勝ち取ることに対しては難しい。電話やチャットを通して、今まで獲得している顧客のご機嫌伺いをして、契約の継続につなげるしかない。

今は、入院期間も短くなっている。そしてコロナ渦で、入院証明書を迅速に書いてくれる自体でも病院側としてはない。1月から4月までの保険の支払いは、手続きさえ取れば迅速に支払われるが、そこまでこぎつけるにはなかなかスムーズには行かないようである。

訪問型の保険に関しては、現状維持と言っていい。

「保険の窓口」など店舗型の保険業に関しては、保険という商品そのものが、不要不急ではない。不特定多数の人間が訪れることから、自粛期間は、休業を余儀なくされた。

ただ、人間というものは、一度明日のことはわからないと言う状態になると、保証される者が欲しくなる。しかし、国の給付金10万円をいかに速く手に入れるかといった家庭の財政も考えると、そんなに多く毎月の保険料を支払えるわけではない。

そこで、外資の電話による保険の申し込みが増えた。この電話は、基本的にコールセンターに行く。コールセンターと言う場所は、実に密である。

コールセンターのテレワーク化

新年早々、まだ中国でコロナが発生したという話がチラホラ出てきた段階の2月、いち早く、コールセンター業務をテレワークにした会社がある。「チューリッヒ保険会社」だ。

客がかけた電話を、チューリッヒオフィスの「PBX」(電話交換機)が起点となって、ケアスタッフ各自のスマホとつなぐ。この前に、チューリッヒが契約するクラウド上のPBXで電話を受け、そのPBXが発信元になって繋がれる。

そのため、スタッフのスマホにも客側のスマホにも、個人の電話番号は表示されない。つまり履歴も残らない(客側には、チューリッヒ本社のフリーダイヤルの番号は残る)。

ケアスタッフからの電話も、フリーダイヤル番号が通知される。音声データは、暗号化されて、録音もされている。このようなシステムだ。

緊急事態宣言が発令される前に、在宅勤務以降に向けた事前研修開始。実際の執務をイメージできるように、オフィス内に模擬的在宅勤務環境を作成し、機器のセットアップなども含めて、ここの状況やレベルに合わせて、心理的にも安心感を持ってテレワークに移れるようにした。

パソコン、スマホ、ヘッドセット、Wi-Fiを必須必需品として希望者に貸与した。さらに周辺備品であるモニターや机、椅子などの購入についても一律金銭補助を行った。

ケアスタッフとスーパーバイザーのコミュニケーションには、チャットを利用して、平時と変わらぬサービス提供を行っている。

個人情報セキュリティについて

仮想デスクトップ技術により、画面に表示している情報をパソコン本体にコピーするなどが出来ない状態にしている。電話接続も、個人が特定されないコールルーティングを実装して、客、ケアスタッフ双方の電話番号を保護している。

ケアスタッフ本人以外には、パソコン画面を見ることが出来ない執務環境を整えることを、在宅勤務の条件として誓約書を交わしている。

世界的な事件事故が起こった場合、世界規模の会社の方が実は対応が速い。それは、財政基盤がしっかりしていることと、想定される事故に対するシュミレーション能力が高いからだ。

日本の企業のように、人材優先の場合、そこに情が発生する。しかし、外資はビジネスライクに、いかに人を動かし、営利につなげるか。働き方改革を、国に尻を叩かれずとも、自社で研究開発しているからである。

かつて、保険商品は、情の上での商品だった。日本にセールスレディ多いのは、夫に先立たれた妻たちが働く場所が安易に見つからなかったためだ。保険のおばちゃんたちは、自分の不幸話を作って、勧誘して歩いた。それを悪いとは言わない。けれど、こうした疫病の発生した時に、情で売り買いするものは破綻する。

保険に関しては、コロナ渦が去って、テレワークがもっと拡充した時に、商機が待っているかもしれない。それが、コロナ後に確立する、生命保険のスタンスだ。

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